2014年6月の記事一覧

患者さんの尊厳を尊重するということ

「看護師さんってたいへんな仕事ですね」

もう何度も言われた言葉ですが、患者さんやその家族をはじめとして多くの人からねぎらいのきもちを込めて言われることは気分の悪いものではありません。

でも私たち看護師のどういった部分を見て「たいへんな仕事」と思われているのかは気になるところです。

というのも、病棟で患者さんやその家族の方から「いつもすみません」とか「たいへんですね」と言われるのは、大抵患者さんの下の世話をした後がいちばん多いという事実があります。

でも私は下の世話ってそんなに汚い仕事、イヤな仕事と思っていないのです。

大便、小便は生きている限り誰にでもあるものですし、病院では一時的かどうかはともかく、誰かの世話にならなくてはならないから入院しているのであって、それは病気でない方からすれば汚いこと、他人の下の世話なんて自分にはとてもできないということなのかもしれません。

人間ならば何かを食べれば必ず排泄につながるわけです。

「食べれば出す」

これが人間の普通の姿ですし、事実です。

ですからこれを汚いとか、忌み嫌うというのは人間の否定につながるようにも私は感じています。

いえ、何も人前で堂々と大小便を垂れ流すことを肯定しているのではなく、病気やケガで不具合がある時には、看護師に任せてもらうことは何も後ろめたいものではないということです。

そういう意味では看護師は人間の排泄物に対しての感覚はちょっと違っているのかもしれません。

だからこそ、下の世話というのは誰にでもできるものではありませんし、患者さんの側にとっても、下の世話を汚い仕事と考える人に世話してもらいたいとは思わないでしょう。

つまり、人間にとって排泄という行為がどういうものなのか、排泄行為を他人に世話してもらうということがどういうことなのかをしっかりと理解していなければ、とてもできる仕事ではないと思います。

排泄行為は人間の尊厳とかかわる部分であり、下の世話に対する自然な感覚を患者さんとその患者さんをお世話する看護師とが共有できるような関係のあることが理想だと思うのです。

これは病院ばかりでなく、例えば訪問看護師にとっても大切な考え方になると思います。

下の世話に対する人間本来の行為と考える自然な感覚を患者さんとそのご家族の方にも理解してもらうことが、よりよい在宅介護にもつながると思いますし、私も病院で患者さんのおむつをかえる時にそんなことを考えるのです。

こちらの記事でもお話ししましたが、看護師の仕事の魅力は患者さんが元気になって退院するときに、心からの笑顔でお礼を言われた時のあのすがすがしい気持ちです。

こうした人間の尊厳にかかわる部分で看護師が患者さんを尊重することこそが患者さんが求める大切な部分ではないかと思いますし、患者さんの感謝の言葉となって帰ってくるのだと感じるのです。

こうしたこともあって、高収入の看護師求人を探して看護師求人転職サイトを探している同僚看護師にその理由を聞くと、患者さんの尊厳を尊重するためにも自分の仕事にプライドを持てるだけの収入面での評価を求めるという意見には大いに理解できるのです。

2014年6月18日|

看護師という仕事の醍醐味

看護師の仕事は常に緊張している状態と考える方が多いのですが、短い時間でありますが、ホッとできる時間はあります。

また常に緊張しているととても続かないということもありますから、ある程度の割切りというのも必要です。

例えば、新人看護師は患者さんがなくなる時、エンゼルと私たちは言いますが、このエンゼルに立ち会うときにほとんどが動転したり、取り乱すケースが多いです。

人の死に立ち会うというのは普通の生活をしていればそうそう多いものではないでしょう。

ましてや看護師になりたての20代前半の女性であれば、普通の精神の持ち主であれば、何とも感じないのもおかしな話です。

ですが、エンゼルのたびに涙を流したり、衝撃に感じていては看護師としての仕事になりません。

ここは患者さんのご家族への配慮を忘れないながらも、しっかりと対応することが求められます。

それには、人間はいつかは必ず死ぬものだし、死は特別なものではないという意識が醸成されていなくてはなりません。

これは人間の死を軽く考えるものではなく、死は異次元の世界の話ではなく、私たちに常に寄り添っているものであると考え、だからこそ、生きている間は少しでも充実した生を送ろうと考えることになります。

たとえ病気と闘っている状態で、やりたいことが制限されている状態であっても、できることは様々あると考えることにもつながります。

こうして人の死について考える機会の多いしごとではありますが、外部の人にとっては、看護師という仕事の表面的な部分でしか見られていないことに少し残念な気持ちになることがあります。

私の友人に食品メーカーの課長をやっている女性がいますが、彼女から「あなたはいいわね、看護師という資格があるから、日本全国どこでも就職先が見つかるでしょ?」
と言われたものです。

看護婦になって3年目くらいまではこんなことを言われると、謙遜して「そうでもないのよ、大会社のほうがうらやましいわ」なんて言ったものです。

けれども、最近は看護師という仕事にプライドがあることもあって、「そうよ。いつ辞めても次の就職先をすぐに決められるわ」ということにしています。

これは確かにそうなのですが、事務員のような仕事をしている高校時代の友人にいうと、たいていイヤミを言われたような顔素されることが多いです。

ただ、私は好奇心が強い方なので、今後10年、20年と看護師の仕事だけを続けているかと言われればわかりませんと言ってしまいます。

看護師という仕事は魅力的ですが、せっかくの一度の人生を一つの仕事だけしかしないなんてどうなんだろうと考えることはあります。

大学の看護科に進むまでは雑誌の編集の仕事がしてみたいなんて考えたこともありましたし、ファストフードの店員や学習塾の講師などいろいろなアルバイトもしましたから、世の中には面白い仕事は山ほどあるというのが私の考えです。

2014年6月14日|