患者さんとの関係

患者さんとの関係

境界型人格障害の女性からものすごい攻撃を受けたことがあります。

境界型人格障害とは、境界例とも呼ばれ、慢性的な抑うつ感、衝動性、不安定な人間関係を特徴とする人格障害です。

このとき、私が彼女に攻撃された理由を考えてみると、「自分が一生懸命困難な治療に耐えたのに、きちんとほめてくれなかった」ということのようでした。

境界型人格障害の特徴をもう少し具体的にお話しすると、周囲の人間を思うままに操ろうとしてさまざまな心理的攻撃を仕掛けてきます。

その手段の一つに本質的でない部分を細かくつついて揚げ足取りを仕掛けてきます。

私と彼女の場合もこうした揚げ足取りが執拗に繰り返されただけなのですが、そのときのことをよく考えてみると、私がねぎらうことが彼女にとってそんなにも大切なことなのかということでした。

私としては立派な大人を相手に子供をあやすような態度で接することはいくら相手が患者さんであったとしても失礼ではないのかと思っていたのです。

周囲の顔色をうかがって生きることは疲れるものですが、これは私自身がそういう性格だからかもしれません。

誰でもしかられることは嫌なことですし、しかられるよりはほめられたい、認められたいものですよね。

それを自覚すればこそ、もしも彼女のような立場だったら、自分がどう感じるか、真剣に考えていました。

こうしたことをしばらく考えていて、結局、人間は他人に認められたい、ほめられたいという生き物であると改めて感じたのです。

また、患者さんの中には自分を過剰にほめてほしい、ほめられることでしか自分のアイデンティティーが確立できないといった人もいて、これが度を超すと相手に執拗なまでにほめることを要求してくるといったケースもあります。

自分とは直接関係のない人にまで自分のアイデンティティー確立のために褒めることを要求するような人もいて、度を越せば超すほど本人のほめられることに対する飢えた感情はますます高まり、手の施しようがないということもあります。

2014年3月30日|