患者さんの尊厳を尊重するということ

患者さんの尊厳を尊重するということ

「看護師さんってたいへんな仕事ですね」

もう何度も言われた言葉ですが、患者さんやその家族をはじめとして多くの人からねぎらいのきもちを込めて言われることは気分の悪いものではありません。

でも私たち看護師のどういった部分を見て「たいへんな仕事」と思われているのかは気になるところです。

というのも、病棟で患者さんやその家族の方から「いつもすみません」とか「たいへんですね」と言われるのは、大抵患者さんの下の世話をした後がいちばん多いという事実があります。

でも私は下の世話ってそんなに汚い仕事、イヤな仕事と思っていないのです。

大便、小便は生きている限り誰にでもあるものですし、病院では一時的かどうかはともかく、誰かの世話にならなくてはならないから入院しているのであって、それは病気でない方からすれば汚いこと、他人の下の世話なんて自分にはとてもできないということなのかもしれません。

人間ならば何かを食べれば必ず排泄につながるわけです。

「食べれば出す」

これが人間の普通の姿ですし、事実です。

ですからこれを汚いとか、忌み嫌うというのは人間の否定につながるようにも私は感じています。

いえ、何も人前で堂々と大小便を垂れ流すことを肯定しているのではなく、病気やケガで不具合がある時には、看護師に任せてもらうことは何も後ろめたいものではないということです。

そういう意味では看護師は人間の排泄物に対しての感覚はちょっと違っているのかもしれません。

だからこそ、下の世話というのは誰にでもできるものではありませんし、患者さんの側にとっても、下の世話を汚い仕事と考える人に世話してもらいたいとは思わないでしょう。

つまり、人間にとって排泄という行為がどういうものなのか、排泄行為を他人に世話してもらうということがどういうことなのかをしっかりと理解していなければ、とてもできる仕事ではないと思います。

排泄行為は人間の尊厳とかかわる部分であり、下の世話に対する自然な感覚を患者さんとその患者さんをお世話する看護師とが共有できるような関係のあることが理想だと思うのです。

これは病院ばかりでなく、例えば訪問看護師にとっても大切な考え方になると思います。

下の世話に対する人間本来の行為と考える自然な感覚を患者さんとそのご家族の方にも理解してもらうことが、よりよい在宅介護にもつながると思いますし、私も病院で患者さんのおむつをかえる時にそんなことを考えるのです。

こちらの記事でもお話ししましたが、看護師の仕事の魅力は患者さんが元気になって退院するときに、心からの笑顔でお礼を言われた時のあのすがすがしい気持ちです。

こうした人間の尊厳にかかわる部分で看護師が患者さんを尊重することこそが患者さんが求める大切な部分ではないかと思いますし、患者さんの感謝の言葉となって帰ってくるのだと感じるのです。

こうしたこともあって、高収入の看護師求人を探して看護師求人転職サイトを探している同僚看護師にその理由を聞くと、患者さんの尊厳を尊重するためにも自分の仕事にプライドを持てるだけの収入面での評価を求めるという意見には大いに理解できるのです。

2014年6月18日|